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関東歯内療法学会にて講演

1月26日に、秋葉原コンベンションホール(東京都千代田区)にて関東歯内療法学会第19回学術大会・総会が行われ、テーマ講演「再根管治療のここがポイント!根管充填材の除去」の演者として講演いたしました。

やり直しの根の治療である再根管治療は、日本において日常的に行われている歯科治療です。しかし感染除去の前に既存の歯科材料(被せ物や土台、詰めてある歯科材料)を正しく取り除く必要があり、一般的に難易度の高い治療として敬遠される治療でもあります。そのため早い段階で「保存困難」と諦められてしまう事例が少なからずあります。この現状に対して学会主導で歯の保存に取り組んでいくことはとても社会的意義のあることだと思います。

今回ご一緒した田中浩祐先生、吉岡俊彦先生は当院の田中利典と同じく歯内療法専門医としてご活躍されており、計3名の講演で、テーマ講演全体がとてもアカデミックかつクリニカルな内容にまとまりました。お二人の演者と共に学会講演の機会をいただきました関東歯内療法学会に厚く御礼申し上げます。

禁煙外来との医療連携を開始

家族はタバコをやめてほしいと思っている。しかし禁煙にチャレンジしたがダメだった…。禁煙への道のりは本人の意志の強さ次第、と思われがちです。

喫煙は肺がんといった呼吸器系への悪影響のみではありません。口腔がんや咽頭がん、心疾患への悪影響なども指摘されています。また、副流煙には主流煙よりも有害物質がより多く含まれるため、家族の受動喫煙はむしろ喫煙者よりも悪影響が大きくなります。さらに喫煙は歯周病悪化の最大のリスクファクターであり、他にも口臭や歯の着色、といったお口の問題にも影響します。このような医学的な悪影響については、皆さん既にご存知なことばかりではないでしょうか。

現代医学では、喫煙には心理的依存身体的依存があるとされています。前者は「食後の一服」といった具合に習慣化してしまったもの、後者はニコチンに対する薬物依存という状態です。このニコチン依存という観点から、2006年よりニコチン置換療法を用いた禁煙治療が保険適用となりました(保険適用となるにはニコチン依存症のスクリーニングテストなど条件を満たす必要があります)。

川勝歯科医院では、歯科治療が済んだ後も予防メインテナンスで定期的に通院いただく予防型歯科医療に取り組んでいます。このたび、近隣の医療機関の禁煙外来と医療連携することで、禁煙にチャレンジする方を積極的かつ持続的に支援していく体制づくりを構築いたしました。

そろそろタバコをやめたいな、でも自分一人ではムリかも、という方に禁煙外来をご紹介し、担当医師、看護師とともに当院の歯科医師、歯科衛生士も一緒になってサポートしてまいります。「身体に悪いと分かっていてもやめられない」。そういうもどかしさを乗り越え、ご自身の毎日を気持ちよくし、さらに周りの人も喜ばせてあげましょう。気になる方は是非ご相談ください。

口腔がんスクリーニング検査の口腔内蛍光観察装置を新たに導入

予防メインテナンス時に行なっている口腔がんスクリーニング検査の評価向上のために、口腔内蛍光観察装置を新たに導入いたしました。

身体に害のない特殊な波長の可視光を当てて専用のフィルター越しに口腔粘膜を観察すると、病変部分が黒く観察できます。この装置を用いることで早期発見や専門外来への紹介をよりスムーズに行なえることが期待できます。

口腔がんはがん全体の1-2%ほどで、10万人に8-9人の発生率と言われています。また、扁平上皮がんと分類されるものが9割以上で、その好発部位は舌です(約6割)。そのほかにも、歯肉や頬粘膜、口蓋や口唇などにもがんは発生します。そのため口腔内を観察する機会の多い歯科医院で発見されることが少なくありません。しかしながら、欧米諸国と比較すると日本の場合進行したステージIVで発見・治療開始に至るケースが多く、国民における口腔がんの認知度の低さやスクリーニング検査の機会が少ない点がメディアや歯科医師会、専門学会でも取り上げられるようになりました。

口腔がんの病状が進行していて原発巣切除や再建手術が行われた場合、咀嚼・嚥下や会話といった口腔機能の低下を伴うことが一般的です。そのため、侵襲が少なく部分切除で済む早期発見・早期治療が極めて重要です。

当院では以前より治療後の予防メインテナンス時に口腔がんスクリーニング検査を行なっておりますが、今回、口腔内蛍光観察装置を導入することでその評価をさらに向上させ、健康をサポートする予防メインテナンスの付加価値をより高めてまいります。

ヘルスケアxデータサイエンスセミナーに参加

12月19日に、日本橋ライフサイエンスビルディング(東京都中央区)にて「奇跡のコラボレーションが生み出すヘルスケア革命」と題したセミナーイベントが行われ、参加いたしました。

本セミナーでは、国立がん研究センター東病院、LINK-J、22CEMITの共催で、国立がん研究センター東病院消化器内科医長の吉野隆之氏、横浜市立大学医学部教授でデータサイエンティストの山中竹春氏により講演がありました。

AIとビッグデータを用いた遺伝子検査(リキッドバイオプシー)で、従来よりも各段に早くて正確ながん診断が可能になる実例のお話から、日本の人口動態と今後のライフサイエンス事業のあり方、スタートアップの可能性のお話まで、日本から世界に向かって発信する研究・事業が紹介されました。

また、医療には予防、診断、治療、介護がありますが、AIやビッグデータをどこに活かすのか、が分かりやすく示されました。日本ではAI・ビッグデータというと画像診断による病気の早期発見、というイメージが強いと思います。しかし現場でのニーズはまだまだあり、多くのシーズが眠っています。産学官で協働し、世界に先駆けて社会実装を実現する継続的な取り組みが重要であることが、セミナー全体を通して伝わってきました。

LINK-J主催セミナーに参加

12月9日に、日本橋ライフサイエンスハブ(東京都中央区)にて「BCG戦略xライフサイエンス データビジネスのグローバルトレンド 〜健康・予防・疾患管理など〜」と題したLINK-J主催セミナーが行われ、参加いたしました。

産官学連携の事業機会・ビジネスモデルを考える上で、(1)網羅的かつダイナミックな検討、(2)対象疾患の絞り込み、(3)患者中心のコンセプトの明確化、(4)包括的なバリューに基づいたマネタイズモデルの獲得、(5)事業モデル実現に向けたステークホルダーとの連携、(6)アジャイルアプローチによる事業・サービスの継続的な刷新と人材育成、が重要であるとのことでした。

大学での研究においては、短期スプリントの繰り返しによるアジャイルアプローチが難しく、意識的にスピード感を持って取り組む必要がありそうです。多くの研究結果が医療の場にしっかりと活用されるよう、社会実装まで取り組んでいく必要を改めて感じました。

「口腔・腸内細菌叢と全身の健康」シンポジウムに参加

12月7日に、東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター(東京都港区)にて第1回口腸連関研究会キックオフシンポジウムとして「口腔・腸内細菌叢と全身の健康-研究の現状と未来-」が行われ、参加いたしました。